世界一面白いかもしれない?歴史教室

歴史好きの大学生の独り言です(≧▽≦)

第2回 疫病史② 原始人類最大の敵

1週間半ぶりです。ヒロです!

何だかコロナがまた広がって、4度目の緊急事態宣言と気が滅入るばかり……

(ライブ行きてえええええ!!)

新型コロナウイルスへの怒りと憎しみをこめてブログ第2回、スタートしまーす(笑)

 

①人類にとっての最初の脅威

さて、人類が誕生したのはどこだろうか?

答えは至って簡単。アフリカですよね。いわば人類の故郷です。

人類はアフリカから世界に散らばっていったわけです。しかし現代でもアフリカは人間が生きるには厳しい環境……。

獰猛な野生動物はもちろんですが、アフリカにはもう一つ恐ろしいモノがいます。

それは重篤感染症です。現代でもアフリカはとびぬけて危険な感染症が多く、代表的なのはエボラ出血熱です。致死率は最大で驚きの90%!!

ですがエボラは近現代になって確認された病です。(確認されてないだけで、元々あったのかもしれませんが)

古代の人類が恐れた病は別のモノでした。それはアフリカ睡眠病マラリアでした。

②アフリカ睡眠病

アフリカ睡眠病は、主にツェツェバエというハエの一種が媒介するトリパノソーマという寄生虫が原因で発症します。

トリパノソーマ自体はもともとカモシカ類に寄生しているのですが、こいつが人間に感染すると、とんでもない毒性を発揮します。(余談ですがトリパノソーマは理科で有名なミドリムシの仲間なのだとか)

こいつに感染されると、まず人間の脳が侵されます。その結果睡眠周期が崩壊し、著しい全身衰弱を引き起こし、眠るように死んでいきます。(眠るように死ぬと言っても、精神疾患を誘発するそうなので楽には死ねないかと)

この病は現在でも多くの人を死に至らしめています。ついでですが、アメリカ大陸にもシャーガス病という、これと同じくトリパノソーマの仲間によって引き起こされる病が存在します。海外に行ったときは虫刺されにご用心を。

原始の人類は、この病を恐れて、ツェツェバエの生息域からずれるようにして生活していたとか。極論このハエが居なければ感染しないわけですし。さらには現代でも死人が出るこの病は、原始人類が発症したとすれば100%死です。全力を挙げてツェツェバエを避けたことでしょう。

マラリア

同じく人類黎明期から我々を脅かしているのはマラリアです。現在では治療法は確立されておりますが、今もなお多くの人を死に至らしめている厄介な病です。なおワクチンは開発されていないので、予防の面でも課題アリです。

病原体はマラリア原虫。こいつも細菌とかウイルスではなく寄生虫なんです。単細胞の寄生虫で、人間の赤血球で増殖します。三日熱マラリア、四日熱マラリアと多様な種類がありますが、中でも最も危険なのは熱帯性マラリアです。

熱帯性マラリア重篤化すると、脳や腎臓を侵し宿主を死に至らしめます。

マラリアは御存じの方もいらっしゃると思いますが、蚊によって媒介されます。現代でも日本の総人口を大きく超えて、世界中で毎年毎年3~5億人の罹患者を出しております。その中で死者は100万人ほど。かなりの犠牲者を出しております。

歴史の有名人たちもこの病に斃れたと言われており、例を上げると、平清盛(日本における武家政権の祖)、一休宗純(いわゆる一休さん)、ツタンカーメン古代エジプトの少年王)、アレクサンダー大王(古代世界における最大の覇者)、ダンテ(『神曲』の作者、イタリア文学の最高峰)、クロムウェル(英国清教徒革命の指導者)と、錚々たる面子です。

1623年のコンクラーヴェローマ教皇を決める選挙)では、沼地が多いヴァチカン周辺で蚊が大量発生、しかもコンクラーヴェとは鍵がかかったという意味である通り、この選挙は密閉空間に多くの枢機卿カトリックの最高幹部)が集まって投票を行うものです。いわば三密上等の空間なわけです。

こんな状況ではマラリアに蔓延してくれと言っているようなもの。結果として10人の枢機卿マラリアに罹患、うち8人死亡、さらに教皇最有力であった枢機卿も重度のマラリアになり、コンクラーヴェは大混乱になってしまいました。

このようにマラリアは世界の歴史に多大な影響を与えてきたのです。

④南米の奇跡の樹

南米には不思議な樹がありました。その樹のの根の下にある水はとても苦く、でもそれを飲むとあら不思議!たちまち死病マラリアが治ってしまうのだとか……

こんなおとぎ話みたいな話ですが、これは実話なのです。

奇跡の樹の名前は「キナノキ」。南米原産のアカネの仲間です。この樹にはとてつもない薬効がありました。それはマラリア原虫に対してきわめて強力な毒性を持っていることです。その成分は後に「キニーネ」と呼ばれます。

キナノキは17世紀半に宣教師によってヨーロッパに持ち込まれます。その甲斐もあってか、1655年のコンクラーヴェではマラリアの犠牲者はゼロでした!

さて、このキナノキ、皆さんにとっても馴染み深いものかもしれませんよ。特にお酒、カクテルが好きな人ならば!

このキナノキの根にある苦い水、これは現在でも多くの人が飲んでおります。マラリアを討ち滅ぼすありがたい奇跡の水を、美味しいジン(蒸留酒の一種。私が一番好きな酒)と一緒にいただこうと考えた熱帯の植民地で働くイギリス人がいました。

もうお察しの人もいるかもしれませんね。そう、この苦い水は「トニックウォーター」として愛飲されるようになりました。ジンとトニックウォーター、二つ合わせて私も大好きなカクテル、ジントニックの完成です!

イギリス人は植民地でマラリアに罹りにくかったそうですが、それはこのカクテルを多くのイギリス人が愛飲していたからでは、と言われております。

余談ですが、現在の日本で販売されているトニックウォーターにはキニーネは入っておりません。キニーネには割と重大な副作用を起こす可能性があります。そのため現代ではキニーネを元にして作られたマラリア特効薬がマラリア治療に用いられております。日本では一応キニーネが入っていることは違法ではないのですが、コスト的な問題もありまして、現在ではキニーネではなく香料を用いているそうです。

⑤最後に

今回取り上げた、アフリカ睡眠病とマラリアは現在でも多くの人が苦しみ、命を落としている病です。

たとえ治療法が確立しても、貧しい人はそもそも医療の恩恵を受けることができない。日本のように国民皆保険で、安く医療を受けられるのは、世界で見ても相当稀なケースなのです。(無論この皆保険制度で発生する財政等の問題も忘れてはいけません)

昨今、コロナ禍で「医療」か「経済」かの二項対立が叫ばれることがありますが、本来はこの二つの概念は、表裏一体でありどちらも軽んじてはいけないモノなのです。

私はそこまで賢い人間ではないので、この二つを両立させる妙案はなかなか思い浮かびません。ですが常により良い案を考え続けること、それこそがこの混迷した状況で必要なことなのではないかと私は思います。

拙文ではありましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました!

参考文献